インジェクションチューニングとは
- インジェクションに始まったわけではない
- ノーマルはわざと遅くしているのか?
- 音を消すには詰まらせるしかない
- 排ガスを綺麗にする為のセッティング
- 走りを面白くする為のセッティング
ハーレーのチューニングはインジェクションに始まったわけではありません。なぜインジェクション車とキャブ車は同じショップで扱わないのか不思議です。手動進角にポイント点火の1930年代のナックルヘッドから構造を完全理解してチューニングしてきた経験があったから2007年にハーレーが全車インジェクション化された時も、代々のハーレーがポイント点火からセミトラ、フルトラ、マニホールド負圧3次元点火マップへと進化してきたのと同じ正常な技術進化として、特に苦労なく受け入れられました。
インジェクション車は、キャブレターで霧化していた燃料をインジェクターの噴射に置き換え、ポイントや点火モジュールで制御していたプラグの火花を、いくつかのセンサーと一緒にコンピューターモジュールで制御しているだけです。
ずっと新旧ハーレーに関わってきたからこそ、単純に考えられるのかもしれません。
よく、インジェクションチューニングをすると走りが変わった!と皆さんレビューで書かれています。実際そうする為に大金を払ってチューニングする訳ですが、そもそも何故ハーレーダビッドソン社はわざわざバイクを遅くして発売してるの?と思いませんか?
それには大きな理由が2つあります。一つは、音量規制。もう一つは排ガス規制。この規制に適合させる為に遅く、つまらなくせざるを得ないのです。
法規制にのっとり、排気音を静かにする為にはマフラーで消音しなければいけません。
消音する為には、排気を壁に当てたりグラスウールに吸収させたりして、どうしても排気効率を悪くさせなければいけません。エンジンの吸排気はバランスが大切なので、エアクリーナーも、排気効率の悪い静かなマフラーに合わせた吸い込みの悪いエアクリーナーになります。
吸い込み辛くて吐きづらい、自分自身に置き換えて考えると、息苦しくてパワー出るわけがありません。
2つ目は、排ガス規制。ハーレーは基本的に空冷エンジンが伝統となっています。空冷は風が当たらなければ冷えません。
じゃあ風の当たらないアイドリングの時はどうやって冷やすのかというと、エンジン内部から燃料で冷やしてやるしかありません。
燃料は濃い方が燃焼温度が低く、薄い方が燃焼温度が高くなります。しかし、燃料を濃くすると未燃焼ガスが多くなり、排ガスが汚くなり排ガス規制をクリアーできません。排ガスを綺麗にする為に薄く燃料を吹きたいけど、燃焼温度が上がって焼き付いちゃうのは危険という微妙な制御をする為にハーレーはインジェクション化されました。
もう一つのポイントが、メーカーが車輌を製造販売する時の排ガス規制と、中古車を車検に通す時の排ガス規制は違います。
メーカーが課される規制は、われわれが車検場で課される規制よりもはるかに厳しいので、車検に通る範囲でも十分に燃料を濃く吹いてやることができます。
この様に、法規制に適合させる為に、あまり吸えないエアクリーナーと、あまり吐けないマフラーをつけ、綺麗な排ガスになる少ない燃料しか吹かないのがノーマルなのです。
いっぱい吸っていっぱい吐いて、燃料バンバン燃やしてやれば、想像しただけでもパワーが出そうですね。
実際は点火や補正の制御等複雑ですが、説明は長かったですが、簡単に言うとそんな感じです。